元気な爺さんたちの東京ダービー
テク・テク! ・・テク・テク! ・・と歩きながら地方競馬場外売り場へ向かう。
途中で2~3箇所の老後施設の前を通る。
窓越しに、爺さん、婆さんたちが
椅子に座っているのが垣間見える。
昔は、アチコチで見掛けた爺さん婆さんが
1箇所に集められている。
現代の歪んだ構図だ。
親を施設に放り込んだ愛する
家族たちは、家で霜降り牛のスキヤキをつついているのだろうか。
やれやれ、やっと場外売り場へ着いたぜ。・・
中に入れば、オッサンたちに混じって、爺さん
たちが結構いる。今、前を通った爺さんは、口を・・パクパク・・パクパクしながら
歩いて行った。もはや、現世に溺れているようだな。・・
もう少しだ、ガンバレー!
ベンチに座っている爺さんは、いつも大きなホイト袋を脇に置いている。
ゴソゴソとその袋から、パック入りのヤキトリを取り出し、ムシャムシャと遣っている。
・・
タケノコ煮・・エビチリ・・お饅頭・・と続いて行く。最後は、シーッ・シーッ!・・と音を
立てながら楊枝で歯を掘っている。
オレは、この爺さんが馬券を買っている所を見た
事が無い。
果たして・・気のせいだろうか・・?
椅子に座っている爺さんは、赤いシャツを着て小綺麗にしている。
・・ように一見すると見えるのだが・・??
よくよく見ると、シャツにうんコをくっ付けている。
ヨーシッ!あと少しだ・・ガンバレー!
「東京ダービー・・スタートしますた。」・・
い、いかん。後方のインで位置が悪い。
「4コーナーを回すて、残り二百メートル。」・・ウ~ム、手応えが悪い・・く、苦しい。。!
「カワセー!」・・「ソノママー!」っとオッサンたちの叫ぶ声に混じって、
爺さんたちも
・・「フガッ!フガッ!フガー!」っと残り少ない魂を揺さぶっている。
オレの買った馬は、テレビ画面にほとんど映っていない。
叫ぶ事も無いまま、呆然と立ち尽くすオレの口は、開いたまんま・・
パクパク!・・パクパク!
「・・・が、力強く駆け抜けますたーぁー!」・・パクパク!・・・・パク! チ~ン♪
これが俺の 馬券生活者の生き様。
終焉の地方場外売り場にて。
0 件のコメント:
コメントを投稿