突然の出来事~
「ドロボー、ドロボー、ドロボー」 ・・ん?
「ドタ・ドタ・ドタ・ドタ・・!」 ・・ん?・・エッ?
「ざわ、ざわ! ・・
何事じゃ・・どうしたんじゃ?」
週に一度、競馬を楽しんでいる熟年夫婦が、ベンチに座っている。
そのオバサンの手さげ鞄から、財布を盗って逃走したドロボーがいる。
「ドロボー」・・と大声を上げながらオバサンが追い掛ける。
その声に驚いた
若い警備員も、ドタドタと階段を駆け下り、ドロボーを追い掛け始める。
突然の出来事に、みんな凝固している。・・ピキーン!
聞くでない・・分かっておる・・役立たずじゃよ、ワシは・・言わせるで無い。
現役馬券生活者は、
汗で背中にペッタリとはり付いたシャツを、剥がそうとクネクネして
いただけじゃよ。
情け無いと思うて呉れるな。・・トホホ!
20分ぐらいして、オバサンが戻って来た。
「逃げられた。」・・と言いながら
ベンチに座って、ため息を付いている。
それから、20~30分経っただろうか、
10人くらいの警官、刑事たちが遣って来て、オバサンや周囲の人たちから、
事情を聴取したり、現場の写真撮影・検証などを行い始めた。
今はもう場外売り場は閑散としている。
ドロボーを追い掛けた若い警備員も
何事も無かったかの様に、元の位置に立って、警備にあたっている。ドロ
ボーが捕まったかどうかは知らないけれど、一つだけ分かっている事がある。
それは、買ってない馬に逃走を許し、大切なオゼゼを競馬会に盗られ
たという事である。
「人を見たら、ドロボーと思え!」・・この戒めの言葉を胸に
。
俺は一人で、泣き寝入りを決め込んで居るのであった。
ビエ~ン、グスン、グス・グス!・・ヘッ、ヘッグ・・チ~ン♪
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